都会っ子純情
某婚活コミュニティでの3か月の訓練を終えた。
アプリで会った人数は50人ちかく。
そして彼氏は
できなかった。
しかしモテた。これまでの人生で一番モテた。
ほとんどの人から次のお誘いを受けた。
会ったその日に告白してくる人もいた。
お寿司が好きと言えばカウンターの寿司屋につれていってくれた。
スポーツカーで送ってもらえたこともあった。
お店の予約をしてもらえるのもお財布をださないのも当たり前になった。
いかに自分がモテないかで笑いを取っていた私が、可愛い、きれいだと褒めてもらえるようになった。
ペーパードライバーだと言うと練習しろよと言われていた私が、君は助手席が似合うよと言ってもらえるようになった。
3か月前と見た目は全く変わっていない。
変わったのは中身だ。
あんなに気を遣って相手の顔色をうかがい、好かれようとしていた私はもういない。
良いところも嫌なところもひっくるめて自分を認め、素直に表現できるようになった。
自信がついた。
中身が変わるだけでこんなにも男性からの扱いが変わるなんて。
だかしかし彼氏はいない。
辛夷の花
某婚活コミュニティに入ろうと決意したのは2017年の12月半ば。
今までの自分を変えたくて大阪から単身東京へコミュニティ主催者へ会いに行った。
家族にも誰にも言わず、その為だけに日帰りで。
たった一人で東京へ行ったのはこの時が初めてだった。
一人で頑張っていた婚活ももう限界だった。
「もう一人ではどうにもならない。」
そんな思いが大阪の片田舎に住んでいたしがないOLの私を東京へと突き動かした。
20代後半ともなるとコンパや紹介も底をつき主戦場は婚活アプリとなった。
アプリ内の膨大な写真の中からめぼしい人を選び、数人と会った。
笑顔を張り付かせ、粗相がないように気を張り、好感を持たれるよううまく振舞った。
その後のお誘いはあるときもあればないときもあった。
数回デートを重ねる相手もいたが自分に嘘がつけなくなりフェードアウトすることがほとんどだった。
当時の私の常套手段はこうだ。
モテないキャラで自分を下げ、いけますよ的な雰囲気をだし相手を安心させて気に入られる。
自信のなさから自分自身を低く見積もっていた。
初回のデートでそんなキャラ設定をした私は
2回目以降はファミレスやファストフード、チェーンの居酒屋等を指定されることもあった。
それらがダメと言うわけでは決してない。
私はファミレスもファストフードも大好きだ。お酒は飲めないがおつまみの類も大好きだ。
お店がどうのではない。
自己肯定感の低さは見抜かれる。
自分に対する扱いは他の人からの扱いと同じだ。
そうやって自分を卑下し大切にできない人は人からも大切にされない。
人は〝この程度〟と思ったものに対しては、やはり〝その程度〟の扱いをする。
”どんな場所だってあなたとなら楽しめる私♡”
言いたいことも言えず相手に合わせそんなキャラを演じることで気に入られようとする自分に、もう嫌気がさしていた。
あぁ変わりたい。
ってかモテたい。
シンプルにモテたい。
その一心で震えながら東京へと旅立つのであった。